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大阪万博の立候補が正式に閣議決定、2025年の万博誘致を目指す

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大阪万博の立候補が正式に閣議決定、2025年の万博誘致を目指す。来年11月最終決戦の最大のライバルはパリ。IRと併せた街づくりが期待されます。

「大阪万博」駆け足での立候補 資金面など課題も

およそ半世紀ぶりの開催を目指す大阪万博の構想浮上から約3年。政府は11日、正式に立候補を決定した。今後の誘致を担うのは、経団連榊原定征会長がトップに就いた官民の誘致委員会。ただ、立候補決定まで駆け足で進み、資金面など課題は積み残されている。

「交流の拡大やビジネスチャンスにつながるビッグイベント。ASEAN(東南アジア諸国連合)と大阪、関西の関係をより強固にする絶好の機会です」

8日、大阪市内であったASEAN加盟10カ国の経済相と日本万国博覧会誘致委員会の昼食会。誘致委会長代行の松井一郎大阪府知事が万博への協力を求めた。

この日は、先月末に発足した誘致委の「外交」デビュー。約1時間の会合は和やかな雰囲気だったといい、松井氏は終了後、記者団に「1票入れると言っていただいた国が何カ国かあった」と喜んだ。

2025年万博の開催地は、博覧会国際事務局(BIE)の加盟国(168カ国)の投票で決まる。誘致活動の中核を担うのが、府や大阪市、経済団体などが作った誘致委だ。年2回のBIE総会でのプレゼンテーションやBIEの現地調査団の対応にあたる。

万博誘致は急ピッチで進んできた。構想が浮上したのは14年夏。現在は松井氏が代表の大阪維新の会が、経済政策の一環として掲げた。政権側にも20年の東京五輪後の景気浮揚策としての期待や、維新の政権運営への協力を取りつける狙いもあり、3年近くで閣議了解に至った。

このため、閣議了解まで準備に7年かけた05年愛知万博に比べ、誘致活動は遅れている。愛知では閣議了解前に10カ国以上を訪問してアピールし、国内では市民参加型などのシンポジウムを計6回開いていた。

榊原、松井両氏は今月24日、立候補を申請する政府とともにパリのBIE本部を訪れ、誘致をアピールする予定。政府や誘致委がBIE加盟各国に本格的に働きかけるのはこれからだ。

■1250億円、重い負担

開催に向けた課題への対応も追いついていない。

最大の課題は資金調達だ。経産省は会場建設費を1250億円と試算。11日の閣議了解で、国、大阪府と大阪市、経済界が3分の1ずつ負担すると決めた。ただ、関西経済団体の幹部は「集めるのは並大抵ではない」と話す。

05年の愛知万博では、地元のトヨタ自動車を中心に寄付を集め、競輪などの公営ギャンブルの収益も資金に使った。しかし、関西にはトヨタほどの資金力がある企業が見当たらず、関西経済界は資金拠出への懸念から当初、万博誘致に慎重だった。

それが積極姿勢に転じたのは、安倍政権が誘致に本気だとみたからだ。経産省幹部は昨年10月、関経連大阪商工会議所など経済団体のトップに面会し、万博への協力を求めた。関係者によると、安倍政権が45年開業の計画だったリニア中央新幹線大阪延伸の最大8年前倒しを図るため、財政投融資を使うと決めたことも大きいという。ある経営者は「お願いしてきたリニアへの財投活用が決まった以上、政権に逆らえない」と話す。

とはいえ、資金調達は厳しい。経団連関経連などは政府に対し、今回使うめどが立っていない公営ギャンブルの収益の活用や、寄付でなく企業の利益にもつながる手法の検討を求めた。経済団体の幹部は「企業に頼んで金を集めねばならず、ハードルが高い」と漏らす。

大阪府市も730億円以上と見込まれる地下鉄延伸など関連事業費を折半する方針で、府市の負担は会場建設費と合わせ、それぞれ500億円超に上る。府市はカジノを含む統合型リゾート(IR)を万博会場と同じ夢洲(ゆめしま)に誘致する方針で、IR事業者の資金にも期待を寄せる。しかし、巨額の開催費用やカジノと併せた万博誘致に府民の理解を得られるかが課題だ。(上田真由美、諏訪和仁)

■大阪府の万博基本構想検討会議副座長の橋爪紳也大阪府立大教授(都市文化論)の話

情報化社会が高度化するからこそ、リアルに人々が集まる場の意義も増しているのではないか。21世紀になって、国際博覧会の使命は変わった。人類が共通して直面している課題に対して、世界の叡智(えいち)を集めて解決策を示す場という役割を担う。

世界の叡智を大阪に集めることに意味がある。大阪の国際博覧会では「バーチャルな場」と「リアルな場」、双方の特徴をいかしつつ融合する試みが展開されるだろう。

国家プロジェクト」である国際博覧会は、世界に対して大阪から強いメッセージを示す機会となる。財源の裏付けのある実現可能なプランを示すことは当然として、高く掲げた志と意義に賛同する人々を増やすことが、誘致に向けた機運を高めるうえで不可欠だ。

■「博覧会の政治学」の著書がある吉見俊哉・東大教授(社会学)の話

万博はかつて新しい産業技術などに出会う最大の場で、近代の世界史の中で特別な意味を持った時代はあった。ただ、万博が人々の意識を変える側面を持ったのは、1970年の大阪万博が最後ではないか。

今は必要な情報をメディアを通じて得られるようになり、人々の意識を変えるという万博の機能は限りなく薄らいでいる。世界的な課題を考える場は、国際会議や国際フォーラムなどでもよいはずだ。

かつての大阪万博の時代に価値観の軸にあったのは、より速く、より強く、より高くという発展型の未来像だった。今、私たちが追求すべきなのはそうではなく、より愉(たの)しく、よりしなやかに、より末永くだ。万博の時代は終わった。

(元記事)http://www.asahi.com/articles/ASK4B4WVYK4BPTIL018.html

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