=コラム=

レスポンシブル・ゲーミング (責任あるゲーミング)

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レスポンシブル・ゲーミング(責任あるゲーミング)は、日本ではまだあまり知られていない言葉ですが、海外のゲーミング業界では周知の社会通念となっています。日本でもIR実施法が成立し、そう遠くない将来カジノが身近に誕生します。同時に、皆さんもレスポンシブル・ゲーミングの取り組みを理解しなければいけない時代がきています。 (*ゲーミング=ギャンブル)

これまで日本は、公営賭博やパチンコなど多くのギャンブル機会が蔓延する環境にありました。ギャンブルに携わる事業者や行政、ギャンブルとの付き合い方に対する教育機会がなかったことで日本はギャンブル依存症大国となりました。

レスポンシブル・ゲーミングを理解することで、安心で健全なギャンブルを育成し、日本もゲーミング先進国へと変われるのです。

レスポンシブル・ゲーミング(Responsible Gaming)

Responsible Gamingとは、ギャンブルサービスを提供・運営・認可する事業者および国・自治体が真摯に取り組むべき社会的責任と活動です。

ゲーミングは”ギャンブリング”と同じ意味で使われますが、インターネットの競技やゲームを含めた幅広い意味としても使われています。カジノのギャンブリングという限定的な意味だけでなく、社会やゲーミング産業が持続的に発展することを目的として、国や行政、事業者等によって統制が図られたギャンブリングを「ゲーミング」と表現することが多くなっています。

Responsible Gamingは、ギャンブリングで起こり得る利害を予防・軽減するためのフレームワークと実践であり、企業の自主的な取り組みや国と自治体の政策および法制までが独自かつ様々なステージで存在しています。Responsible Gamingは「対策と取り組み」であり「概念」でもあります。

Responsible Gamingには二つのステージがあります。

一つは、プレーヤー自身がゲーミングに対して責任をもつミクロレベルの取り組みです。例えば、教育や啓発プログラムによってゲーミングにはどのようなリスクがあり、どのような知識と注意が必要であるかを理解した上でゲーミングに参加してもらいます。さらに、消費や損失を伴う娯楽であり、お金や時間の制限が安全な遊びには役立つことや、過度のゲーミングがプレーヤー自身だけでなく家族や友人を巻き込む問題となることを理解してもらいます。

もう一つは、過度のゲーミングや依存症になりつつある人の手助けを行ったり、ギャンブル依存者を出さないよう事業者や行政、対策機関などが連携して行う組織的なマクロレベルの取り組みです。ゲーミング収益から得られた税収の一部を政府や自治体が啓発、 予防、 ケア、 調査研究を通して社会に再配分する方式 (Revolving Account) をとっている国や地域も増えています。ゲーミング事業者は、この問題に取り組む民間団体の活動支援や自己排除プログラムの導入、専門的ケアの情報提供のサービス体制構築の支援等を提供しています。

誰かだけが責任を負うのではなく、国や自治体、事業者や関連する団体がそれぞれの「責任範囲」と「対策範囲」を検証かつ連携して、顧客と社会を「守る」取り組みが「Responsible Gaming」です。

(RCPG講演より)

 

CSR

企業の社会的評価として、CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)という考え方があります。「コンプライアンス」が法令遵守であるのに対して、「CSR」はより広義な意味で社会の要請・要求に応えるための責任として浸透しています。CSRの一環として企業が取り組んでいる活動は、環境問題や雇用創出、地域貢献、消費者保護、品質管理などがあります。

従って、Responsible Gamingは CSRの重要な要素の一つとなります。

 

依存問題対策で日本は近代化できるか

レスポンシブル・ゲーミングは、文化や地域を超えて広がっている社会通念です。ゲーミング産業がアジア経済発展の大きな原動力になっていく中で、これまではアンダーグラウンドであった賭博が健全な産業として発展し、社会的価値が向上していきました。そうなれば、今までギャンブリングに免疫のなかった人たちに対する安全や地域活動としての社会貢献に寄与しなければいけないという考え方に変わっていきました。

これまでは、問題が起こってから対処する「プロブレム・ギャンブリング」が主流でしたが、現在は「レスポンシブル・ゲーミング」という社会的通念に世界は大きくシフトしています。

(RCPG講演より)

日本はゲーミングにおいてはまだまだ後進国ですが、IR導入を機に日本のゲーミングの近代化に期待されます。

 

Responsible Gaming

ギャンブルサービスを提供・運営・認可する事業者・従業員および国・自治体が真摯に取り組むべき社会的責任と活動。

企業の取り組み

✓ Casino Entry System
(入場制限システム)
✓ Casino Visit Limit
(入場回数制限)
✓ Prevention of Underage Gambling
(未成年者の排除)
✓ Exclusion Programs
(排除プログラム)
✓ Prevent Money Laundering, Terrorism
(マネロン、テロ対策)


従業員の取り組み    
     

✓ Security Dealing
(セキュリティー・ディーリング)
✓ Compliance Training
(コンプライアンス・トレーニング)
✓ Clear Announcement
(明確なアナウンスメント)
✓ Game Protection
(不正行為からの防衛)
✓ Informing of Irregularity
(不規則行為の報告)

 

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