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巨額のIRビジネスで中小にも商機 大企業は専門チーム組み研究

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巨額のIRビジネスで中小にも商機 大企業は専門チーム組み研究

「IR推進100社の会」の小池隆由さんの講演に聴き入る地元企業の経営者ら。大阪ではIR実現への期待感が高まっている =9月25日、大阪市中央区(渡辺恭晃撮影)

「統合型リゾート(IR)事業は、誰かにやってもらうんじゃない。地元の観光やまちづくりを担ってきた私たちでやるんです」

9月25日夜、大阪・ミナミの料亭。宴会場に詰めかけた地元の経営者ら約50人を前に、「IR推進100社会」幹部の小池隆由さんは熱く語りかけた。

「IR推進100社の会」の小池隆由さんの講演に聴き入る地元企業の経営者ら。大阪ではIR実現への期待感が高まっている =9月25日、大阪市中央区(渡辺恭晃撮影)

「100社会」は、観光や飲食、インフラ整備などIR施設開業に伴って生まれるビジネスを、自分たちの手で提供しようとする関西の中小企業の組織だ。今夏に発足し、9月下旬時点で約40社にまで増えた。

 大阪でのIR参入に名乗りを挙げる海外の大手IR事業者は10社程度と予想されている。そんな中で100社会は「勝たせるパートナーになる」と小池氏。100社会と組んだIR事業者こそが、業者選定時に高い評価を得て参入を果たせる-というわけだ。

「主導権握る」

IRに付随するビジネスは多岐にわたる。施設と観光地を結ぶバスや船舶が往来し、数千室ものホテルではシーツやタオルを交換・洗濯したり、レストランに食材を納入したりと無数の仕事が生まれる。日本語通訳の需要も膨らむ。

 

 

堀氏は「どんなビジネスができるか、私たちがアイデアをまとめてIR事業者に提案する」と強調。むしろ地元が主導権を握ってIR事業者を巻き込んでいくのだと意気込む。

IR事業者側も地元を取り込もうとしている。

「中小企業の活性化を図り、ぜひみなさんと大阪を盛り上げていきたい」

米IR運営大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人を率いるエド・バワーズ最高経営責任者(CEO)は、大阪の商工関係者と何度も会合を重ね、そう語りかけているという。

大企業も食指

国内の建設会社も熱視線を送る。大阪のIR建設に向けては、海外IR事業者が巨大施設の青写真を公表しているほか、予定地とされる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)の周辺で大規模なインフラ開発も見込まれるからだ。

 

大林組は大阪本店に「夢洲開発(万博・IR)プロジェクトチーム」を設置。国が大阪開催を目指す2025年国際博覧会(万博)誘致と、IR建設を実現させるため「技術やノウハウを最大限に活用する」とアピールし、事業参画に向けて情報収集と研究を本格化させている。

同社広報部の飛山芳夫担当部長は「周辺では鉄道網などのインフラも整備されていく。関西経済の発展に貢献する中でビジネスチャンスを見つけたい」と意気込む。

【Q&A編】日本企業の参画どこまで? 地元の利益について継続議論を

Q 日本で設置される統合型リゾート(IR)施設は誰が運営するのか

A 米国やアジアの大規模IRは専門事業者が手掛けているが、日本にはカジノなどのノウハウを持つ企業がない。このため日本のIRの運営は海外のIR事業者が中心になり、国内企業が参画する形が有力だ。

 

Q どのような事業スキーム(枠組み)になるのか

A 例えば、海外のIR事業者1社と複数の日本企業が出資して運営統括会社を作り、ホテル、カジノ、劇場など各施設の運営はそれぞれ業者に委託する方法などが検討されている

Q 利益の多くを外国の企業に持っていかれないか

A 日本企業が利益を上げられる分野は多い。ソフト面では、日本のおもてなしを生かした接客サービスが期待されている。ハード面では、施設建設のほか、最先端の映像機器やカジノのスロットマシンの導入なども考えられる。

Q 中小企業への恩恵は

A 大阪にIRができれば経済波及効果は年6900億円と試算され、さまざまなビジネスが生まれる。大阪商工会議所は、IR事業者と地元中小企業がともに利益を得られる関係を求め、IR開業後も継続的に議論していく構えだ。

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