IR実施法の5月中の審議入りを目指す自民・公明・日本維新は、16日ギャンブル依存症対策基本法案を国会に共同提出した。ギャンブル依存対策に関する制度を導入する法案が成立することになれば、カジノ解禁の議論は社会的価値があったといえるかもしれない。日本ではギャンブル機会に対してギャンブル対策が後進とされるが、ギャンブルサービスを提供する事業者や従業員、それを認可する国・自治体の「社会的責任」を問う制度導入が期待される。
海外では「Responsible Gaming(責任ある賭博)」として、カジノ運営企業や国・自治体は社会的責任と活動に真摯に取り組んでいる。Responsible Gamingは、CSR(=企業の社会的責任)の重要な要素の一つとなる。
*レスポンシブル・ゲーミングとは、ギャンブルサービスを提供・運営・認可する事業者・従業員および国・自治体が真摯に取り組むべき社会的責任および活動である。
カジノ法案
ギャンブル依存症法案、自公維で共同提出へ
自民、公明、日本維新の会の3党は15日、ギャンブル依存症対策基本法案の修正で合意した。16日に共同で国会に提出する。カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の前に審議入りし、今国会での成立を目指す。
法案は、パチンコなどを含めた依存症に対する国と地方の責務を明らかにし、政府に基本計画の策定を求めるほか、官房長官を本部長とする推進本部を設ける内容。同趣旨の法案を提出している立憲民主党などに一本化を呼びかけていた。
15日の修正協議には、当初出席予定だった国民民主党は欠席した。衆院会派「無所属の会」と希望の党は出席したが途中退席。立憲民主党と共産党は欠席した。維新の主張を受けて、推進本部の下に依存症患者や有識者らで構成する関係者会議を設置することで3党が合意した。
政府・自民党はIR実施法案を重要法案と位置付け、会期内成立を目指している。カジノに対して党内の懸念が強い公明党の要請に基づき、自公両党は依存症法案を先行審議する方針を決めている。
野党は対応が割れている。国民民主党はIR実施法案への賛否が定まらないため、依存症の与党法案への対応も固まらない。与党法案に無所属の会は反対、希望の党は賛成する方向だ。
立憲民主党は自由、社民両党などと対案となる依存症対策法案を国会に提出済みだ。【松倉佑輔、樋口淳也】
(毎日新聞)https://mainichi.jp/articles/20180516/k00/00m/010/116000c