9日・10日に札幌で行われたIRの展示会「北海道IRショーケース」は、二日間で約7,000人が来場する盛り上がりとなった。昨年4月の関西IRショーケースの来場者数は約9,000人。北海道でIR誘致を目指す海外IR事業者らは、北海道の魅力を活かした構想を発表した。中でもハードロック社のギター型タワーホテルはインパクトを残したようだ。
現在までにIR誘致を決定している自治体は、大阪府市、和歌山県、長崎県のみで、北海道、東京都、横浜市、愛知県などは検討中である。
ハードロック・ジャパン、ギター型ホテル建設を構想 苫小牧IR誘致で
北海道苫小牧市などが誘致を表明しているカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、米国などでカジノを運営し、道内進出を目指す「ハードロック・ジャパン」(本社・東京都)は誘致成功時に苫小牧市でギターの外観が特徴的な自社ホテルや著名なミュージシャンが使用した衣装、楽器などを展示するミュージアムを建設する構想を明らかにした。米系の「ラッシュ・ストリート・ジャパン」(同・苫小牧市)もホテルや乗馬体験施設などの構想を明かした。
米国や香港などでIRを運営する海外事業者7社などが参加し、9、10の両日、札幌市で開かれた「IRショーケース」(実行委主催)で示された。ハードロック社は米国やカナダなど16カ所でカジノを運営する。苫小牧市では3000億円以上を投資し、約100ヘクタールの敷地を開発。開発予定地からJR苫小牧駅の隣の沼ノ端駅までをモノレールで結ぶ構想。宿泊施設は、ギターの外観が特徴的な自社ホテルや世界で高級ホテルを展開する「フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾート」の提携ホテルなどで計1500室を備える。
また、1万人を収容するライブ会場や夏季でもウインタースポーツを楽しめる屋内施設「ウィンターワンダーランド」を整備。ブロードウェーシアターや国内外の著名なミュージシャンが使用した楽器や衣装などを展示するミュージアムも建設する。
米国で先住民族セミノール族と協力したノウハウを生かし、敷地内に「アイヌビレッジ」を設け、展示や体験でアイヌ文化を発信する。同社CEOのエドワード・トレーシー氏は「自然環境など日本でも特筆すべき北海道のうち特に苫小牧はアクセスが良く、良質のリゾートを提供できる」と強調する。
一方、ラッシュ社は昨年12月に苫小牧市に事務所を開設。複数のホテル(計2200室)を建設し、製紙に関連する美術館やeスポーツ、ウインタースポーツ、乗馬などの体験施設の構想を明かした。ギャンブル依存症対策も重視するとし、ティム・ドレフコフ最高財務責任者は「地域との対話を重視し、カスタムメード型のIRを目指す」と話す。
また、米国を中心にカジノホテルチェーンを運営する「シーザーズ・エンターテインメント・ジャパン」(本社・東京都)もイベントに参加し、ウィリアム・シェン社長は「北海道は魅力的な地域。IRをきっかけにさらに人を呼び寄せ、長期滞在も期待できる」と指摘した。
イベントでは苫小牧、釧路、留寿都3市村の観光協会や商工会も出展。各社がブースを設置して、模型や映像でそれぞれの開発構想や実績をPR。実行委によると2日間で計7000人が来場した。道はIRの誘致の是非を明らかにしておらず、国の意向調査に「検討中」と回答した。誘致する場合は苫小牧市に一本化する方針。【安達恒太郎】