27日、大阪(梅田)で日本でも初めてとなる大規模なIRエキスポが開催された。オープニングセレモニーに松井大阪府知事と吉村大阪市長が参加し、講演では橋下前大阪市長がスピーチを行った。その後、大阪観光局長の溝畑氏と大阪商業大学の谷岡学長が講演し、海外大手IR企業6社によるプレゼン大会が行われた。
展示会場では、海外大手IR企業が展示ブースで各社の魅力をアピールした。28日は一般者向けの展示会・講演会が行われる。(www.ir-expo.jp)
大阪での統合型リゾート、カジノ以外の魅力訴え
大阪市で27日、国内初の統合型リゾート(IR)の展示会が開かれ、世界のカジノ大手6社の首脳がそろって大阪はじめ日本への進出意欲を示した。政府がカジノ実施法案を閣議決定したこともあり、各社がそろって1兆円を超える投資計画を表明。展示会のブースでは独自のショーや国際会議の誘致などカジノ以外の魅力アピールにも余念がなかった。
展示会に出展した主要6社にアンケートを実施した。各社の旗艦施設の概要やカジノ以外の魅力、大阪進出を想定した事業像などを聞いた。
香港資本の銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント)はマカオの旗艦施設「ギャラクシー・マカオ」に2022年までに合計125億ドル(約1兆3600億円)を投じる。同社幹部のジェレミー・ウォーカー氏は「マカオの敷地面積は47ヘクタール。大阪市の夢洲(ゆめしま)は70ヘクタールあり、投資額はより大きくなる」と語った。
米ラスベガス・サンズはシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」への投資額の2倍近い100億ドル(約1兆900億円)超を大阪に投じる考え。マリーナベイ・サンズには4万5000人を収容し国際会議などを開くMICE施設がある。
アジア大手のゲンティン・シンガポールのタン・ヒーテック社長は大阪での投資額が「100億ドル規模は当然」と語る。7000億円を投じた同社の旗艦施設「リゾート・ワールド・セントーサ」はユニバーサル・スタジオや水族館を擁する。
米シーザーズ・エンターテインメントは大阪では「健康」をテーマにする構想を打ち出した。「大阪は医療の先進地。25年国際博覧会(万博)のテーマとも重なる。世界のどこにもないウェルネス(健康)をテーマにしたIRに挑戦したい」とスティーブン・タイト国際開発責任者。
大阪IRでのカジノ面積に言及したのは米MGMリゾーツ・インターナショナル。日本法人のエド・バワーズ最高経営責任者(CEO)は「最低、3万平方メートルはほしい」と明言。IR実施法案はカジノ面積はIR全体の延べ床面積の3%以内と定めており、ホテルや劇場などのエンターテインメント施設も含めたIR全体の延べ床面積を100万平方メートル以上にする。
香港のメルコリゾーツ&エンターテインメントのローレンス・ホーCEOもマカオなどで「日本の規制と同水準のカジノ面積で運営してきた実績があり、3%は問題ない」と語る。マカオの旗艦施設では独自の水上ショーが人気だ。日本でIR事業を手掛けることになった場合、「本社を日本に移す用意がある」(日本法人のジェフリー・デイビスCEO)という。
ラスベガス・サンズのマリーナベイ・サンズでもカジノ面積は全体の2%未満となっており、ジョージ・タナシェヴィッチ開発責任者は「(2%未満でも)カジノの収益で全施設をカバーできるモデルを確立している」と、エンタメ施設など非カジノ部門の強みを政府や大阪府市などに訴えていく考えだ。
(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2995553027042018LKA000/