明日大阪府市共同でIR推進局を設置。職員は31名。
カジノ含むIR 府市が初会合
カジノを含むIR・統合型リゾート施設の大阪への誘致に向け、大阪府と大阪市が共同で設置した「IR推進会議」の初会合が開かれ、ギャンブル依存症や治安対策なども含めて、総合的に検討していくことを確認しました。
初会合には、行政や経済界の代表に加え、観光やカジノの専門家など、およそ10人の委員が参加しました。
はじめに、大阪府の松井知事があいさつし、「世界のほかの都市にはない圧倒的なIRを誘致するため、オール大阪で、国の特区認定を何としても勝ち取りたい。そのためには、推進会議で、治安対策やギャンブル依存症対策などの課題についてしっかりと検討することが必要だ」と述べました。
続いて行われた意見交換では、「これまで違法だったカジノを誘致するには、不安を感じている府民の理解を得ることが重要だ」とか、「IRの誘致を大阪の都市政策や文化政策と結びつけるべきだ」などといった意見が出されました。
そして、会合では、今後、IR事業者が自治体に納める納付金をどの程度にするかについて議論するとともに、ギャンブル依存症対策、それに、暴力団の排除などの治安対策などについて検討していくことを確認しました。
大阪府と大阪市は、今後、推進会議を2か月に1回程度開催し、議論を進めたいとしています。
また、大阪府と大阪市は、カジノを含むIR・統合型リゾート施設の誘致に向けた取り組みを共同で進めるため、4月1日、「IR推進局」を設置します。
IR推進局は、大阪府と大阪市が共同で設置するもので、ギャンブル依存症対策や治安対策のほか、IR事業者の選定などの業務にあたります。
職員は大阪府と大阪市のあわせて31人です。大阪府の松井知事は、記者団に対し、ギャンブル依存症対策について、「日本では、IRがないのにギャンブル依存症の患者が多いのは、パチンコによる依存症が多いからではないかと思う。行政として、この機会に、日本における依存症対策のモデルを作っていきたい」と述べました。
また、松井知事は、どのようなIR事業者を誘致したいかという点について、「大阪に一番投資してくれるかどうかが重要なポイントだ。先日、IR事業者と面会し、『大阪は魅力的なので、盛り上げるために最大限協力したい』と言っていただいたが、最終的には、『いくら投資していただけるんですか』ということだ」と述べました。関西経済同友会の蔭山代表幹事は、30日の記者会見で「いままでどこが中心となってIRを推進していくのか、実際に旗を振っているのは府だが、実際にやる場所は大阪市の管轄になるということで、IR事業者からみたら、大阪府にも行かなあかん、市にも行かなあかん、担当部局が何個もあった感じで、非常に混乱していたと思う」と述べました。
その上で蔭山代表幹事は、「窓口として一本化され、ここが中心になって、IR事業者であったり国であったりというところの交渉窓口になるということなので、非常に期待をしている」と述べました。
【事業者の接触相次ぐ】
去年12月に、国会で、カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備推進法が成立して以降、大阪府には、国内外の事業者からの問い合わせが相次いでいるということです。
こうした中、アメリカ・ラスベガスに本社がある「ウィン・リゾーツ」のマット・マドックス社長は、28日、大阪府庁を訪れ、松井知事や大阪市の吉村市長と会談しました。
この中で、マドックス社長は、大阪・此花区の夢洲で、IRの開業を検討していることを伝えたものとみられます。
会談のあと、マドックス社長は、記者団に対し、「大阪には、観光客が求める豊かな文化、交通アクセスなど、IR事業者が求めるものがすべてが揃っている。数十億ドル規模の投資になる見込みで、夢洲でのIR開業は我々の夢だ」と述べました。
【政府・与党の動き】
カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備推進法が成立したのを受けて、政府は、3月24日、ギャンブル依存症対策などを盛り込んだ立法措置を検討するため、安倍総理大臣を本部長とする推進本部を設置しました。
一方、自民の作業チームは、28日、会合を開き、カジノに限らずパチンコなども含めた依存症対策を進めるため、基本理念などを盛り込んだ議員立法を今の国会に提出することを確認しました。
また、公明党も作業チームの会合を開き、依存症対策を進めるための基本法の制定などを、近く政府に提言することを確認しました。
(元記事)http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20170330/4896001.html