IR実施法案成立以降、態度を明らかにしてこなかった東京都がIR誘致の検討に向けた経済効果および雇用効果、弊害などの調査を開始することを発表した。調査は、外部事業者に委託して来年の3月まで実施される。
都、カジノ誘致で調査へ 経済効果や弊害面を分析
都が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)が都内に立地した場合の影響について、調査に乗り出すことが二十五日、分かった。IR誘致の是非を判断する材料にするため、経済活性化や新規雇用の増加といった誘致効果のほか、ギャンブル依存症や治安悪化など弊害面を分析するとみられる。
都は二〇一四年以降、IRに関する委託調査を数回実施しているが、海外の事例分析が中心だった。七月のIR整備法成立でカジノの規制内容が固まったことから、地元で立地した際の影響を初めてテーマに据えた。調査の委託に向けた入札手続きを進めており、十月中に事業者を決める。調査期間は来年三月まで。
小池百合子知事はこれまで「メリット、デメリットを検討する」と態度を明確にしていない。ただ、業界関係者らによると、国際空港へのアクセスや人口の多さから都内開業を望むIR事業者は多く、仮に誘致に乗り出せば有力候補地になる可能性が高いという。
整備法は国内で開業するIRを最大三カ所とし、希望する都道府県や政令指定都市が申請し、国が経済効果などを基に選定すると規定。北海道内の自治体や、大阪、和歌山、長崎三府県が誘致に取り組み、横浜市なども誘致を検討している。