福井経済同友会が北陸地域では過去2例目となるIR誘致に名乗りを上げた。候補地は、5年内に延伸される北陸新幹線の南越駅(仮称)の西側エリアで100ヘクタールの広大な土地が用意される。今後、同友会と越前市は福井県と北陸経済界に「オール北陸」を提言していく。
南越駅は、2023年春に開業予定の北陸新幹線の駅で福井県越前市の北陸自動車道・武生IC南方に設置される。福井経済同友会は、地域経済の活性化と地域貢献に寄与することを目的に設立された経営者団体の公益社団法人。
IRや専門職大学 提案 福井同友会、越前市の新幹線新駅周辺
福井経済同友会は23日、北陸新幹線の南越駅(仮称、福井県越前市)周辺の整備に関しての提言を発表した。統合型リゾート(IR)の誘致あるいは、伝統工芸や観光経営について学ぶ専門職大学の整備を提案。商圏人口が50万人に届かない嶺北地域には、滋賀県や石川県といった周辺地域やインバウンド(訪日外国人)の誘客が見込める施設が必要としている。
提言の第1候補がIR誘致だ。IR内には和紙や漆器といった福井県の伝統工芸品の制作体験ができる施設を設け、他地域との違いを打ち出す。カジノを含むIRには県民の理解や国の選考といったハードルがあるが、行政の観光振興策頼みでは南越駅の乗降客数は伸び悩むとの危機感がある。同日会見した林正博代表幹事(福井銀行頭取)は「様々な案を検討したが、経済効果を考えると間違いなくIRだ」と主張する。今後は、福井県や関連団体にも提言を説明する。
第2候補は福井県立大学の新学部としての専門職大学の設立だ。伝統工芸科では、陶芸や木工、和紙などのコースを設ける想定だ。大学内には伝統工芸が体験できる施設をつくり、観光需要も取り込みたい考えだ。このほか、提言ではIRと大学の併設についても市の検討を促している。
越前市の奈良俊幸市長は「市の力量を超えた内容もあるので、オール福井・オール北陸で取り組まれることを期待する」とのコメントを出した。
(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28519950T20C18A3LB0000/