4月27日、28日に大阪・梅田グランフロントで「関西IRショーケース」が開催され、2日間で約1万人が来場した。初日はビジネス向けとして、橋下前大阪市長が講演に登壇し「世界の度肝を抜くようなIRを大阪に作ってほしい。」と激励された。2日目は一般向けのセミナーと展示ショーが行われたが、前日にIR実施法案が国会に上程されたこともあり多くの一般人が来場した。
関西IRショーケースの模様は、今週土曜(5日)夕方放送の「報道特集」(TBS 土曜17:30) のIR特集の中で一部紹介される。
日本初のIR展は“カジノ以外”をPR「イメージ変えることが重要」
IR=カジノを含む統合型リゾートの誘致を目指す大阪で、海外の事業者が集まる見本市が始まりました。各社PRするのは、ホテルや会議場などカジノ以外の部分です。イメージを変えたい思惑もあるのでしょうか。
27日にグランフロント大阪(大阪市北区)で始まった見本市「関西IRショーケース」。大手のIR事業者6社が集まる珍しいイベントで、一般の人も入場できるIRのイベントは日本で初めてだといいます。会場で講演を行ったのは、大阪府知事や大阪市長としてIR誘致を進めてきた橋下徹氏。
「カジノっていうのはね、なかなか住民の皆さんには受け入れられないですよ。今も日本全体でカジノについて世論調査をすると、反対の方が圧倒的に多いですね。過半数を上回って6割7割ぐらいがまだ反対」(橋下徹前大阪市長)
先に挨拶に立った松井知事をネタにしつつ、誘致を実現する鍵は「イメージを変えること」だと話します。
「松井さんが前面に出ると、どう考えても腹巻きした人がサイコロ振ってるあのイメージになってしまう。爽やかなイメージの吉村大阪市長を前面に出して、松井さんは政治力、中央政府との裏交渉をやってもらうと」(橋下徹前大阪市長)
その松井知事は、挨拶でこんなことを話していました。
「『IRはカジノだ、博打場をつくるのか』、『松井はとんでもない奴だ』と今でもデモされてますけど。IRはエンタテインメントの拠点であって、カジノだけの施設じゃないと」(松井一郎大阪府知事)
27日の見本市の会場。あちこちにルーレットやスロットマシンが並んでいるのかと思いきや…。
「こちらが展示スペースなんですが、どのブースも見る限りカジノを思い起こさせるような雰囲気はありません」(米澤飛鳥記者リポート)
ラスベガスを拠点とする「シーザーズ」のブース。豊臣秀吉の「金の茶室」をイメージしたといいます。映っているのは、セリーヌ・ディオンなど契約しているアーティストのショー。カジノの様子はまったく映っていません。
最近、大阪オフィスを開設したばかりの「メルコリゾーツ」は立体的な映像が広がるVR機器を用意しましたが、こちらも映っていたのは…。
「およそ4分間の動画が流れたんですが、豪華なショーの映像ばかりで、カジノの映像はありませんでした」(記者リポート)
各社の担当者に話を聞くと、判を押したようにこんな答えが返ってきました。
「多くの日本人にとって、IR=カジノというイメージだと思う。IR=カジノではないし、IRには様々な要素があると知ってほしい」(日本MGMリゾーツ エド・バワーズ氏)
「日本におけるカジノ=IRという認識は事実ではありません。IRにはカジノがあるが、全体の中のごく一部です」(ラスベガス・サンズ社 ジョージ・タナシェヴィッチ氏)業界最大手の「サンズ」が運営するシンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」。MBSも以前、取材していました。
「カジノだけに注目されがちですが、ここには250もの会議室があり、数多くの国際会議に利用されています」(高田裕介記者リポート・2014年取材)
完成時、話題を呼んだビル屋上のプールもIR施設の一部。カジノは低層階に入っていますが、大きな面積を占めるのは4万5千人が入れる会議場やミュージカルを上演する劇場、現代アートの美術館などで、カジノが占める面積は全体の3%以下だといいます。
「ビジネスでいらっしゃる方もいますし、プールを目的に来る方もいますし。カジノに全員が行くわけではなくて、全体を楽しめるような施設になっています」(マリーナ・ベイ・サンズ担当者)
27日、政府はIR実施法案を閣議決定。今国会での成立を目指す方針です。「カジノ」への根強い反対がある中、IR事業者は自らへのイメージを変えることができるでしょうか。
(毎日放送)https://www.mbs.jp/news/kansai/20180427/00000067.shtml