2025年の万博とセットで夢洲にIR誘致を目指す大阪府・市が、公職者に対して、IR事業者との癒着などの誤解を防ぐために「事業者対応等指針」の改正を発表した。2016年のIR推進法成立の直後には、大阪府・市の議会議員に対してかん口令が敷かれたこともあった。政府の森友・加計問題の事例で世論もセンシティブになっている中、大阪府としても慎重に事を進めたい。
大阪府・市が癒着防止で「対応指針」改正
大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)にカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す大阪府・市は25日、業者との癒着を防ぐための「事業者対応等指針」を改正したと発表した。政治家や職員ら公職者から、事業者選定に関する働き掛けがあった場合は記録に残し、3カ月ごとに公表する。
IR実施法が20日に成立し、事業者らによる働き掛けの過熱が予想され、透明性確保のために厳格化した。新指針には、事業者の選定に関する要望を受けた際、要望者の氏名や日時、内容を記録して定期的に公表することを追加。事業者の代理人とは、その事業者の正社員が同席する場合のみ面会ができるとした。さらにカレンダーや文房具などの事務用品の受け取りや会食、パーティーへの参加を一切、禁じることも明文化した。
公職者には職員OBらも含まれる。松井一郎知事は25日の定例記者会見で、「暴力団や反社会的勢力の関与が懸念され、公職者の関与は疑いを持たれるだけで、利権と住民に思われる。IRは大阪の成長のためで、全てフルオープンにしたい」と述べた。【藤顕一郎】