働き方改革・カジノ設置…重要法案、来年に先送り
政府・与党は1日召集の特別国会で審議する法案について、国家公務員給与法改正案などにとどめる方針だ。働き方改革関連やカジノを中心とする統合型リゾート(IR)実施法案といった重要法案の提出は来年1月召集の通常国会に先送りする。働き方改革やIR整備に向けて企業や自治体が想定していた計画が狂い、対策に影響を与える恐れもある。
特別国会の会期は12月9日まで。安倍晋三首相の所信表明演説や各党の代表質問、首相出席で外交や経済などの重要課題を話し合う予算委員会を予定する。11月5~7日はトランプ米大統領が来日し、首相はその後、ベトナムで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに出席。与党幹部は「重要法案の審議時間は確保できない」と説明する。
カジノ設置のための手続きや規制基準を定める「IR実施法案」も審議が遅れる。昨年12月に施行した「IR整備推進法」は1年以内をめどに実施法案の策定を求めた。
石井啓一国土交通相は11月2日の記者会見で「具体的な制度を政府・与党で今後検討する段階だ。(実施法案の)提出時期のめどは立っていない」と述べた。与党はギャンブル依存症対策の法案を先に審議する方針で、実施法案の審議入りの時期は見通せない。
政府はカジノや会議場、ホテルなどが一体となった統合型リゾートの設置区域を20年代前半に全国で2~3カ所選定する見通し。横浜市や大阪市は地域経済の活性化を見込み、誘致に関心を示している。だが、実施法案の審議・施行が遅れれば、自治体の整備計画も推進力を欠くこととなる。
受動喫煙対策を強化する「健康増進法改正案」も先送りになる。先の通常国会では、飲食店での厳しい規制回避を求める自民党内の調整が難航し、法案提出ができなかった。法案が成立しても2年程度の周知期間が見込まれるため、19年に日本で開くラグビーワールドカップまでに間に合わない可能性がある。
(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23115660U7A101C1SHA000/